2013年6月半ば以来、新聞など報道されているようにヘイズ(煙害)による大気汚染がマレーシアで発生しています。
毎年、6~8月にかけて大気汚染が悪化しますが、今年の6月は降水量が少ないこともあり、今年のヘイズは例年に比べてとりわけ酷くなっています。KL周辺でも、周囲の建物が白い煙霧に包まれているかのような状況です。
マレーシアのヘイズ(煙害)による大気汚染の状況
クアラルンプール首都圏に在住の方によれば、街には木の燃えたような煙のにおいが漂っており、マスクやスカーフを顔に巻いて歩いている人の姿が目に付くそうです。
この「ヘイズ」(Haze)とは、大気中に浮遊する乾燥した物質によって起こされる煙害です。視界が悪くなり、目・鼻・喉などの粘膜が刺激されて目や皮膚のかゆみ、鼻水、咽頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れます。
このヘイズはインドネシアのスマトラ島で行われる野焼きの焼畑農業や、セランゴール州のカンポン・ブス・バル、プラウ・ケンパスなどでの泥炭火災がヘイズの原因です。焼畑農業や泥炭からの自然発火によって森林火災が起こり、その煙が南西モンスーンに乗ってシンガポールやマレーシアを襲う形となっています。
6月17日午前11時時点でトレンガヌ州、パハン州、マラッカ州などで大気汚染指数:API(Air Pollution Index)が101を超えて以来、マレーシア各地で大気汚染の状況が悪化しています。
APIが示す数値の意味は以下の通りです。
- 0~50:良好(Good)
- 51~100:中程度(Moderate)
- 101~200:不健康(Unhealthy)
- 201~300:非常に不健康(Very Unhealthy)
- 301以上:危険(Hazardous)
※シンガポールでは、PSI(Pollutant Standards Index)という指数が使われています。
マレーシア環境局(DOE)の発表によると、ムアルでは6月20日11時時点で大気汚染指数:API値が383となり「危険」レベルに。
6月21日午前11時の時点では、ジョホール州パシル・グダンのAPI値は323、コタティンギで314を記録し、「危険」レベルに達しました。
さらに6月23日にはジョホール、マラッカ州で「危険」レベルが3か所に増え、ナジブ・ラザク首相がジョホール州ムアルとレダンを対象に非常事態を宣言しました。
その後、マレー半島南部ではヘイズは改善傾向をみせており、大気汚染の地域は北上。6月24日午前7時には「危険」がネグリ・センビラン州ポートディクソン1か所のみとなり、、同日午前11時にはゼロとなっています。
6月24日午前11時時点で「極めて不健康」な地域は、セラン ゴール州クラン、ポートディクソン、トレンガヌ州クママンの3か所。「不健康」レベル は、クアラルンプール、セランゴール州ペタリンジャヤ、同州シャアラムなど21か所。
6月28日には、日本の外務省が シンガポール・マレーシア:煙害(ヘイズ)に関する注意喚起 を出して注意を促しています(2013年07月08日現在で有効です)。
今後、数ヵ月は雨が少ない気候が続くことが予想されるため、ヘイズが再び悪化する可能性もあります。
2013年6月20日の衛星写真:ヘイズの様子
ヘイズが悪化している時の対策
ヘイズの悪化しているときの主な対策は次の通りです。 ただし、体質の違い、心臓・呼吸器の疾患があるかどうか、屋外活動の程度の違いなどによって個人差があります。大気汚染指数と自分の体の様子に毎日注目し、必要に応じて適切な対応をとるようにしましょう。
- うがいと手洗い、洗顔の励行。入浴、シャワー。ヘイズの強いときはこまめに。
- マスク着用。
- 室内の環境整備(加湿、空気清浄機の使用、クーラーのフィルターの交換・清掃、床の拭き掃除など)
- 禁煙
- 外出や屋外での運動を減らす、避ける。
- ヘイズに関する情報を把握する。
- 症状があれば医療機関を受診する。
ヘイズ(煙害)大気汚染に関する最新情報の入手方法
マレーシアに旅行予定の方は、以下のサイトなどを、随時、目を通しておくことをオススメします。
- Department Of Environmen
- マレーシアの環境局のサイトでマレーシア各地のAPI値が毎日午前7時、午前11時、午後5時に発表されています。
- HAZE
- シンガポール国家環境庁(National Environment Agency)が運営するヘイズ情報サイトです。
- Air Quality – ASIAONE
- シンガポールのオンラインニュースサイト、ASIAONE内の「Air Quality」コーナーにて、シンガポール各地のPSI値が更新されています。